TS-BASE 物流
2024.07.22
サプライチェーンとは?役割や主な要素、サプライチェーンマネジメント(SCM)についても解説
サプライチェーンとは、原材料の調達から製品の配送までの全プロセスのことです。効率的に管理することが企業の競争力に大きく影響します。
本記事ではサプライチェーンの定義や役割、主な要素について詳しく解説し、さらにサプライチェーンマネジメント(SCM)とそのメリットについても紹介します。
目次
サプライチェーンとは?その重要性について
サプライチェーンとは、原材料の調達から製品の製造、流通、最終消費者への供給に至る一連のプロセスを指します(後述)。具体的には、原材料の供給者、製造業者、倉庫業者、物流業者、小売業者などがサプライチェーンに含まれ、これらの組織が協力することで商品やサービスをエンドユーザーに届けるまでの流れ(サプライチェーン)を形成しています。
サプライチェーンは、商品やサービスの供給において以下のような役割を果たしています。
- 効率的な資源利用:サプライチェーンの管理を通じて、企業は資源の無駄を減らし、コスト削減を図ることが可能です。効率的な在庫管理や物流の最適化により、無駄なコストを削減し、利益率を向上させることができます。
- 供給の安定性確保:サプライチェーンは安定した供給を確保するための重要な手段です。適切な調達計画と在庫管理を行うことで、需要の変動や予期せぬトラブルにも柔軟に対応できます。
- 顧客満足度の向上:効率的なサプライチェーンはスピーディな配送や在庫の適正化を通じて、顧客満足度の向上に寄与します。顧客のニーズに迅速に応えることができるため、信頼性の高いサービスの提供が可能です。
- 競争力の強化:サプライチェーンを最適化することで、コスト削減や品質向上を通じて他社との差別化を図ることができ、競争力を強化できます。
サプライチェーンの主要な要素
サプライチェーンは主に、以下の要素で構成されています。
調達:調達は必要な原材料や部品を供給者から購入することです。調達はサプライチェーンの出発点であり、品質、コスト、納期などの観点から最適な供給者を選定することが重要になります。
生産:生産は調達した原材料や部品を用いて製品を製造することです。生産の効率性や品質は製品の競争力を左右する重要な要素で、生産プロセスの最適化や品質管理が求められます。
在庫管理:在庫管理は必要な材料や製品を適切な量で保管し、需要に応じて供給するためのプロセスです。在庫の過剰や不足を防ぎ、コストを最小限に抑えるためのバランス調整が必要になります。
在庫管理については、こちらの記事で詳しく解説しています。
倉庫管理:倉庫管理は製品や材料を保管し、需要に応じて出荷するための施設管理です。効率的な倉庫管理は、迅速な出荷と在庫の最適化を実現します。
物流:物流は製品や材料を供給者から製造拠点、倉庫、そして最終消費者まで移動させるプロセスです。輸送手段の選定やルートの最適化、コスト削減が重要になります。
物流については、こちらの記事で解説しています。
需要計画:需要計画は将来の需要を予測し、それに応じた生産や調達を計画するプロセスです。正確な需要予測は、過剰在庫や供給不足を防ぐために不可欠といえます。
注文管理:注文管理は顧客からの注文を受け取り、処理し、出荷するプロセスです。注文の正確な処理と迅速な対応は、顧客満足度を高めるために重要となります。
顧客サービス:顧客サービスは製品やサービスに関する問い合わせやトラブルに対応することです。顧客とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築きます。
リターン管理:リターン管理は製品の返品や交換を管理するプロセスです。効率的なリターン管理は、顧客満足度を維持し、環境への負荷を最小限に抑えるために重要となります。
サプライチェーンマネジメント(SCM):サプライチェーンマネジメントは上記すべての要素を統合し、全体の効率性と効果を最適化するために管理することです。サプライチェーン全体の可視性、コラボレーション、リスク管理を強化するためのツールや技術を活用します。サプライチェーンマネジメントについては後述します。
これらの要素が効果的に管理されることで、サプライチェーン全体の効率性と企業の競争力の向上が期待できます。
サプライチェーンの課題と解決策
ここからはサプライチェーンの管理においてよくある課題とその解決策の例を見ていきましょう。
需要予測の不正確さ
課題:需要予測が不正確だと、在庫過剰や在庫不足が発生し、顧客満足度が低下するリスクがあります。
解決策:
- データ分析の活用:過去の販売データや市場トレンドを分析して、より正確な需要予測を行います。
- リアルタイムデータの使用:POSシステムやIoTデバイスからのリアルタイムデータを活用し、需要の変動に迅速に対応します。
在庫管理の問題
課題:在庫管理が不適切だと、在庫の過剰や不足が発生し、運営コストが増加します。
解決策:
- 自動化ツールの導入:WMS(倉庫管理システム)やERPシステムを導入して、在庫の追跡と管理を自動化します。
WMSについては、こちらの記事で解説しています。
- 定期的な在庫チェック:定期的に在庫をチェックし、物理的な在庫とシステム上の在庫を一致させます。
- ABC分析:在庫品目を重要度別にA・B・Cと分類し、重点的に管理することで効率化を図ります。
そのほかの在庫管理と課題の解決策については、こちらの記事で解説しています。あわせてご覧ください。
物流の遅延
課題:物流の遅延が発生すると、納期遅延や顧客の不満が増加する可能性があります。
解決策:
- 予防保全の実施:車両や設備の定期的なメンテナンスを行い、故障を未然に防ぎます。
- 物流ネットワークの最適化:輸送ルートや配送センターの配置を見直し、効率的な物流ネットワークを構築します。
- サプライヤーとの協力強化:サプライヤーと緊密に連携し、遅延のリスクを共有・軽減します。
コストの増加
課題:物流や調達コストの増加が利益を圧迫します。
解決策:
- コスト分析:各プロセスのコストを詳細に分析し、コスト削減の機会を特定します。
- アウトソーシングの検討:ノンコア業務をアウトソーシング(BPO)することで、コスト削減と効率化を図ります。
- サプライチェーンファイナンス:サプライチェーン全体の資金フローを最適化し、コストを抑える手法を導入します。
リスク管理の不足
課題:自然災害や供給不足などのリスクが発生すると、サプライチェーン全体が影響を受ける可能性があります。
解決策:
- リスクマネジメント計画:リスク発生時の対応計画を策定し、リスクに備えます。
- サプライチェーンの多様化:複数の供給元を確保し、1つのサプライヤーに依存しない体制を構築します。
- BCP(事業継続計画):事業継続計画を策定し、災害や緊急事態発生時にも業務を継続できるよう準備します。
技術の不足
課題:最新の技術を活用できないと、サプライチェーンの効率が低下します。
解決策:
- デジタル化の推進: IoT、ビッグデータ、AIなどの最新技術を導入し、サプライチェーン全体をデジタル化します。
- トレーニングと教育:スタッフに対して新しい技術に対するトレーニングを行い、スキルを向上させます。
- パートナーシップの活用:技術パートナーと協力し、最新技術の導入と運用をサポートしてもらいます。
サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?
サプライチェーンとあわせて、先述のサプライチェーンマネジメント(SCM)についても解説します。
サプライチェーンマネジメントとは、製品やサービスの流れ全体(原材料の調達から製品を顧客へ配送するまでの全ての段階)を管理するプロセスのことです。主な目的は、サプライチェーン全体の効率を最大化しつつ、コストを最小化しながら顧客満足度を向上させることにあります。
サプライチェーンマネジメントのメリット
サプライチェーンマネジメントを導入することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
- コスト削減:サプライチェーンマネジメントを導入することで、企業は在庫管理の最適化や物流コストの削減が可能です。在庫の過剰や欠品を減らし、調達コストを削減することで、全体的な運営コストを効果的に抑えることができます。
- 効率の向上:サプライチェーンマネジメントにより業務プロセスを標準化することで、効率的な運営が可能になります。また情報システムを活用してリアルタイムデータを管理することで、迅速な意思決定が可能になり、業務全体の効率が向上します。
- 顧客満足度の向上:需要予測の精度を高め、顧客のニーズに迅速に対応することで、顧客満足度を向上させることができます。
- 競争力の強化:サプライチェーンマネジメントを導入することで、業務量の変動に柔軟に対応でき、市場の変化に迅速に適応することができます。またプロセスの監視と改善により、製品やサービスの品質を向上させ、競争力を強化させることも期待できるでしょう。
- リスク管理の強化:サプライチェーンマネジメントによりサプライチェーン全体のリスクを可視化し、事前に対策を講じることができます。問題が発生した際には迅速に対応し、影響を最小限に抑えることで、リスク管理の強化が図れるでしょう。
- サステナビリティの推進:効率的な物流や生産プロセスにより環境負荷を軽減し、持続可能なビジネス運営を実現することができます。サプライチェーン全体でCSR(企業の社会的責任)活動を推進することは、企業の信頼性を高めることにもつながります。
- コラボレーションの強化:サプライチェーンマネジメントによりサプライヤーとの連携を強化し、より良いパートナーシップを構築することができます。また、社内の各部門が連携し情報を共有することで、全体の効率を向上させ、企業全体のコラボレーションを強化することも可能です。
効率的なサプライチェーンの管理を目指そう
サプライチェーンの効率化は、企業にとって継続的な成長と競争力の強化につながります。本記事で紹介したサプライチェーンマネジメントを導入し、変化する市場環境に迅速に対応することが、自社の成長への鍵となるでしょう。
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