TS-BASE 物流
2024.07.26
外部倉庫(委託倉庫)とは?利用するメリットや注意点、業者の選び方
外部倉庫(委託倉庫)は企業が自社の物流業務を効率化し、コストを削減するために利用する重要な手段です。
本記事では外部倉庫とは何か、企業にどのようなメリットを及ぼすのか、利用の際の注意点や業者を選定するポイントなどを紹介します。
目次
外部倉庫(委託倉庫)とは?
外部倉庫(委託倉庫)とは、企業が自社で所有・運営する倉庫ではなく、外部の専門業者が運営する倉庫のことです。外部倉庫を利用し、自社の物流業務の一部または全部を外部業者に委託することにより、自社の負担を減らしながら在庫の保管や管理が可能になります。
外部倉庫(委託倉庫)と自社倉庫との違いは?
外部倉庫と自社で運営する自社倉庫の主な違いをまとめました。
コスト構造
外部倉庫:倉庫を立てるスペースを用意したり、建物を建設したりといった費用は不要です。使用したスペースやサービスに応じた費用が発生します。固定費が低く、変動費が高いのが特徴です。
自社倉庫:建設費用、設備費用、運営費用などの初期投資が高くなります。また固定費が高い分、長期的な使用においてはコストが抑えられる可能性があります。
柔軟性
外部倉庫:需要の変動や季節変動に対応しやすく、必要なときにスペースを拡大し、不要なときには縮小することが可能です。
自社倉庫:スペースの調整が難しく、需要変動に対する柔軟な対応が難しい傾向があります。長期的な見通しに基づいて建設・運用する計画が必要になるでしょう。
専門知識と技術
外部倉庫:物流の専門業者が運営しており、最新の技術や効率的な運営ノウハウを活用できます。高度な物流サービスを提供するため、品質の高い管理が期待できるでしょう。
自社倉庫:自社の従業員が運営するため、専門知識や技術の習得が必要です。運営効率や管理品質は自社のスキルに依存します。
管理とコントロール
外部倉庫:委託先の業者に業務を依存するため、直接の管理やコントロールが難しい場合があります。業務の透明性の確保や情報共有が課題となるかもしれません。
自社倉庫:直接管理が可能で、自社の基準に従って運営できます。管理やコントロールがしやすく、柔軟な対応が可能です。
リスク管理
外部倉庫:災害やトラブル時にリスクを分散しやすい傾向があります。複数の外部倉庫を利用することでリスクを軽減可能です。
自社倉庫:災害やトラブルが発生した場合、自社倉庫に依存するため、リスクが集中する可能性があります。バックアップの準備が必要です。
スピードとレスポンス
外部倉庫:業者の対応速度やサービスレベルに依存します。場合によっては、自社倉庫よりもスピードやレスポンスが遅れることがあります。
自社倉庫:直接管理するため、迅速な対応や調整が可能です。緊急時の対応がスムーズに行えます。
外部倉庫(委託倉庫)を利用するメリット
外部倉庫を利用することの主なメリットを紹介します。
コスト削減
外部倉庫を利用することで、自社倉庫を建設・運営する場合にかかる高額な初期投資(建設費用、設備費用、土地取得費用)が不要になります。また物流業務にかかる固定費(人件費、光熱費、保守費用など)が削減され、変動費としての利用料金のみで運営できるため、コストコントロールがしやすくなるのもメリットです。
柔軟なスペース利用
外部倉庫はシーズンごとの需要変動やプロモーション期間中の急なスペース需要に対して柔軟に対応可能です。必要なときにスペースを増やし、不要なときには縮小することが可能で、ビジネスの成長や新規市場への展開時にも迅速に追加スペースを確保できます。
専門知識とサービスの活用
物流の専門業者が運営する外部倉庫では、効率的な在庫管理、ピッキング、梱包、出荷などの高度な物流サービスを受けられます。これにより、企業は最新の自動化技術や倉庫管理システム(WMS)、バーコードやRFIDなどを活用し、物流業務の効率化が可能です。
物流倉庫業務をアウトソーシングするメリットについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
リスク分散
自社倉庫に依存するリスクを軽減し、災害やトラブル時に他の外部倉庫を利用することで業務の継続性を確保できます。また複数の外部倉庫を利用することで、地理的リスクや輸送リスクを分散し、リスクマネジメントを強化可能です。
業務の集中
物流業務を外部に委託することで、企業は製品開発やマーケティングなどのコア業務に集中でき、経営資源を効果的に活用できます。また倉庫運営や在庫管理の管理負担が軽減され、効率的な業務運営が可能です。
キャッシュフローの改善
外部倉庫の利用により初期投資が不要であるため、企業は限られた資金を他の重要な分野(例えば、製品開発や市場拡大)に投資することができます。これによりキャッシュフローが改善され、事業運営の安定性向上が期待できるでしょう。
外部倉庫(委託倉庫)を利用する際の注意点
さまざまなメリットがある外部倉庫ですが、利用する際には注意するべき点もあります。ここでは主な注意点について解説します。
契約内容の確認と理解
外部倉庫を利用する際には契約内容(料金体系、サービス範囲、保管条件、責任分担、契約期間、解約条件)を詳細に確認し、理解することが重要です。特に追加料金が発生する条件や、契約解除時のペナルティなどは事前にしっかりと把握しておきましょう。
セキュリティと保管環境
外部倉庫のセキュリティ対策や保管環境を確認することも重要です。防犯カメラ、アクセス制限、警備体制などのセキュリティ対策が適切に実施されているかを確認し、商品の盗難や損傷リスクを最小限に抑えます。
また温度や湿度の管理が必要な商品については、保管環境が適切であるかを確認しましょう。
在庫管理システムの連携
外部倉庫と自社の在庫管理システムが適切に連携しているかを確認することが重要です。リアルタイムで在庫情報を共有できるシステムの導入により、在庫管理の精度を向上させ、欠品や過剰在庫を防ぐことができます。
在庫管理システムについては、こちらの記事で解説しています。
定期的な棚卸しと在庫チェック
外部倉庫を利用する際には、定期的に棚卸しや在庫チェックを実施し、在庫の正確性を確保することが重要です。在庫の実態とシステム上のデータが一致しているかを確認し、誤差が発生した場合は迅速に原因を特定し、対策を行います。
棚卸しの方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
コミュニケーションと情報共有
外部倉庫業者との密なコミュニケーションと情報共有が不可欠です。定期的な打ち合わせや報告書の提出を通じて、物流業務の現状を把握し、問題が発生した際には迅速に対応できる体制を整えます。
また業者の担当者と良好な関係を築くことで、柔軟な対応や提案を受けやすくなるでしょう。
緊急時の対応計画
外部倉庫でのトラブルや災害に備えて、緊急時の対応計画を策定しておくことが重要です。予期せぬ事態が発生した場合に備え、バックアップの倉庫や代替の物流手段を確保し、業務の継続性を維持できるようにしておきましょう。
コストパフォーマンスの評価
外部倉庫の利用コストが自社の物流戦略に見合っているかを定期的に評価しましょう。コストパフォーマンスが悪いと感じる場合、他の外部倉庫業者との比較や交渉を行い、より良い条件を引き出すことを検討します。
品質保証とクレーム対応
外部倉庫を利用する際には、商品の品質保証とクレーム対応の体制を確認することが重要です。商品の破損や紛失が発生した場合の補償条件や、クレーム発生時の対応プロセスを事前に明確にしておきます。
外部倉庫(委託倉庫)を選ぶ際のポイント
もし外部倉庫を利用する場合、以下の点を意識しながら業者を選定するのがおすすめです。
立地
外部倉庫を選ぶ際には、まず立地が重要です。倉庫が主要な交通網(高速道路、港、空港、鉄道)に近い場所にあるかを確認しましょう。これにより輸送コストの削減と配送の迅速化が期待できます。
またターゲット市場や主要な顧客に近い立地を選ぶことで、配送時間を短縮し、顧客満足度を向上させることができます。
設備と技術
倉庫が必要な設備(フォークリフト、自動化システム、冷蔵・冷凍設備など)を備えているかを確認しましょう。これにより、商品管理と作業効率が向上します。
また、倉庫管理システム(WMS)、バーコードスキャニング、RFIDなどの先進技術を導入しているかを確認し、在庫管理の精度と効率を高めることが重要です。
倉庫管理システムについては、こちらの記事で解説しています。
セキュリティ
外部倉庫のセキュリティ対策が十分に整っているかを確認します。防犯カメラ、アクセス制限、警備体制などが適切に実施されているかを確認することで、商品の盗難や損傷リスクを最小限に抑えることができるでしょう。
サービスの範囲
倉庫業者が提供する物流サービスの範囲(保管、ピッキング、梱包、出荷、返品処理など)を確認し、自社のニーズに合ったサービスを提供しているかをチェックします。また特定の要求(需要の変動など)に応じてサービスをカスタマイズできるかも重要です。
主な物流業務については、こちらの記事で解説しています。
コスト
倉庫の利用料金が明確であり、追加費用が発生する条件や料金が透明であるかを確認します。単に安いだけでなく、提供されるサービスの質と価格のバランスを考慮し、コストパフォーマンスの高い倉庫を選ぶことが重要です。
コミュニケーションと対応力
倉庫業者の対応力や顧客サポートの質を確認します。問題が発生した際に迅速かつ適切に対応できる業者を選ぶことが重要です。
また業者とのコミュニケーションの取りやすさや情報共有の体制も考慮するべきです。定期的なミーティングやレポートの提出があるかを確認しましょう。
実績と信頼性
倉庫業者の過去の実績や評判を確認し、信頼できる業者かどうかを判断します。業界での評価や顧客のレビューも参考になるでしょう。
また業者の経営状態が安定しているかを確認し、長期的に信頼して利用できるかを見極めます。
コンプライアンスと法規制の遵守
倉庫業者が関連する法規制を遵守しているかを確認します。特に食品や医薬品など、特定の規制が適用される商品の場合は、業者の管理体制が適切であるかを確認しましょう。
また、倉庫業者が適切な保険に加入しているかを確認し、万一の際のリスクを軽減します。
他企業のレビューと倉庫の状況
他の企業や業界関係者からのレビューやフィードバックを参考にし、業者の信頼性やサービスの質を評価します。
また倉庫を見学し、実際の運営状況や施設の状態を確認することも重要です。これにより業者の実力を実際に目で確かめることができます。
自社のニーズに沿った外部倉庫(委託倉庫)を選ぼう
外部倉庫を選ぶ際には、立地条件や設備、セキュリティ対策、そして提供されるサービスの幅広さなど、さまざまな要素を検討することが重要です。自社のニーズに最適な倉庫業者を選ぶことで、物流の効率化や競争力強化が図れるでしょう。
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