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2024.05.24

注文書と発注書の保管期間は?保管方法や電子帳簿保存法の改正に関する注意点を紹介

注文書と発注書の保管期間は?保管方法や電子帳簿保存法の改正に関する注意点を紹介

目次

注文書と発注書の保管期間や適切な保管方法、そして最近の電子帳簿保存法の改正に関する情報は、企業経営者や担当者にとって非常に重要だといえます。

本記事では、注文書と発注書の保管に関する基本的な知識や、最新の法改正について紹介します。

注文書と発注書の保管期間は?

注文書と発注書は法的に保管期間が決められており、その期間は法人の場合と個人事業主の場合とで異なります。それぞれの期間を見ていきましょう。

法人

法人の場合、取引で作成および受領した帳簿書類(帳簿と棚卸表・貸借対照表・損益計算書・注文書・契約書・領収書などの書類)は、事業年度の確定申告書の提出期限翌日より7年間保存することが求められます。

ただし、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度、または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間が保存期間となります(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)。

参照:国税庁-No.5930 帳簿書類等の保存期間-

個人事業主

個人事業主で青色申告をしている場合、注文書・発注書の保存期間は5年間です。ただし、下記の書類に関しては7年間の保管が求められます。

  • 帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など)
  • 決算関係書類(損益計算書、貸借対照表、棚卸表など)
  • 現金預金取引等関係書類(領収証、小切手控、預金通帳、借用証など)

白色申告の場合も保管期間は同様です。

参照:国税庁-記帳や帳簿等保存・青色申告-

保管しないとどうなる?

帳簿や注文書・発注書などを求められている保管期間内に破棄してしまうと、税務調査が発生した際に取引の証拠を示すことができなくなってしまう可能性があります。場合によっては税金の追加徴収の対象になることも考えられるため、帳簿書類の保管期間はしっかり守りましょう。

注文書・発注書の保管方法

注文書や発注書はどのように保管すれば良いのでしょうか。ここでは大きく分けて3つの方法を紹介します。

  • 紙ベースの保管
    手書きの書類や印刷された文書をファイルや棚に保管する方法です。注文書は原則紙面で保管することになっています。保管期間が6年目以降の帳簿書類は、マイクロフィルムによる保管も可能です。
    紙という物理的な形で文書を確認でき、保管が比較的容易ですが、スペースを取る上、紙が劣化する可能性があるため、長期的な保存には注意が必要です。

  • デジタル化による保管
    紙の注文書・発注書をスキャナーで読み取ったり、電子データでやり取りしていた書類をそのままデータとして保存し、クラウドやデータベースにアクセスできるようにして管理する方法です。スペースを取らず、データの検索や共有、バックアップの作成が容易に行えます。
    一方でセキュリティの問題や電子的なデータが消失する可能性があるため、信頼できるクラウドサービスなどを選び、保存の適切なフローを構築することが重要です。

  • 紙ベースとデジタルを組み合わせた保管方法
    注文書や発注書をデジタル化して保存し、重要な文書は紙ベースで保管する方法です。効率的な検索や共有が可能かつ、重要な文書のデータ損失を防ぐことができます。紙ベースとデジタル、両方の方法を組み合わせるための管理やコストが必要ですが、情報の保護と効率性を両立させることができます。
    ただし、令和4年1月からの「電子帳簿保存法」の改正により、令和5年12月31日以降、メールに添付するなど電子取引で受け取った注文書は、電子データのまま保存することが義務化されました。
    電子データを紙に出力して保存することは認められないため、注意が必要です。

電子帳簿保存法の改正について

令和4年1月1日より施行された電子帳簿保存法の改正について、注文書・発注書の保管という観点で押さえておきたい要点をまとめます。

改正に関するより詳細な情報は、下記をご覧ください。

参照:国税庁-電子帳簿保存法が改正されました-

  • 電子データの事前承認制度の廃止
    これまでパソコンなどで作成した注文書・発注書を電子データとして保管する場合、3カ月前に税務署長への事前承認申請が必要でした。
    しかし、法改正により事前承認制度が廃止され、申請せずとも電子データでの保存が可能になりました。

  • タイムスタンプ要件の緩和
    法改正の前は、紙の注文書をスキャナ保存する場合にはタイムスタンプ(ある時刻にその電子データが存在しており、それ以降改ざんされていないことを証明するスタンプ)の付与が必要でした。
    しかし、法改正によって要件が緩和。特定の期間内に電子データ保管を行ったことが把握できる場合は、事業者側のタイムスタンプが不要になりました。
    またタイムスタンプの付与期間についても、改正前はデータのスキャナ保存から遅延なく3営業日以内とされていたのが、最長で2カ月以内に緩和されています(訂正・削除の記録が残るシステムを使ってスキャンする場合、タイムスタンプは不要)。

  • 制裁措置の追加
    改正前は注文書を含む帳簿書類の保管は義務とされていましたが、違反した場合の制裁措置はありませんでした。しかし法改正により、違反した際の制裁措置が設けられました。
    スキャナ保存が行われた国税関係書類の電子データ保存について、記録したデータの隠ぺい・改ざんなどがあった場合、重加算税が10%加重されます。

注文書・発注書は適切に保存しよう

注文書・発注書の保管期間は、法人か個人かによって異なります。また紙ベースで保存するか電子データとして保存するか、それぞれにメリット・デメリットがあるため、最適な方法を採用するべきでしょう。

昨今はペーパーレス化の動きが強まり、取引の段階から電子データで行うケースが増加しています。それに伴い、注文書や発注書も電子データで保存するほうが効率的に管理できるでしょう。電子帳簿保存法の改正により電子データで保存する場合の事前申請が不要になるなど、電子での保管が以前より行いやすくなっています。

注文書・発注書を電子データとして管理し、ペーパーレス化を図りたい企業は、こちらの記事をご覧ください。ペーパーレス化を進めるための方法などを紹介しています。


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