TS-BASE 物流
2023.09.01
物流の荷役(にやく)とは?作業内容や必要な安全対策について解説
目次
物流工程の中心である荷役(にやく)には、積卸しや入庫、仕分けなどのさまざまな作業があります。これから物流にかかわる人や荷役に携わる人は、各作業内容に加えて必要な安全対策をしっかりと把握し、安全にミスなく作業を行えるようにしましょう。
この記事では、荷役の具体的な作業内容や用いる機械、さらに荷役を行う上で重要な安全対策について解説します。
物流における荷役とは
物流における荷役(にやく)とは、運搬や保管をする物の取り扱いに関する作業の総称のことです。倉庫や工場など陸上で行われる「陸上荷役」と、港や埠頭で行われる「湾岸荷役」の2種類があります。
荷役にはさまざまな作業があります。ここでは、陸上荷役の主な作業内容を紹介します。
積卸し・積み下ろし
車両や鉄道、飛行機などで輸送された荷物を下ろす作業です。なお、船舶ではコンテナへ荷物を積み込む作業を「バンニング」、荷物を取り出す作業を「デバンニング」といいます。
運搬
倉庫内や拠点間などで荷物を移動させる作業です。人力で行う方法の他、運搬機や巻き上げ機(ウインチ)を用いることもあります。
積付け
効率的な運搬や保管を目的として、荷物を整列し、積み上げる作業です。また、パレットに荷物を積み上げる作業を「パレタイズ」、積み下ろす作業を「デパレタイズ」と呼びます。
入庫
倉庫などの物流拠点に荷物を運び入れる作業です。似た言葉である「入荷」は、商品などが出荷元から受け入れ先の倉庫に到着することを指します。このため、入荷は入庫の前段階の作業といえます。
格納
入庫した荷物をパレットやラックなどを用いて指定の場所に保管する作業です。保管場所はWMS(倉庫管理システム)などで管理するのが一般的です。
仕分け
荷物を種類や形状、出荷先などの基準に従って分類する作業です。
ピッキング
倉庫などに保管している荷物について、必要なものを必要な数量だけ取り出す作業です。ピッキングは、対象となる商品の品番や数量が記載された出荷指示書(ピッキングリスト)を参照しながら実施します。
荷揃え
出荷準備として、荷物を積載する車両や運搬する方向・エリアなどのカテゴリ別に集める作業です。
出庫
保管場所から荷物を運び出す作業です。
荷役作業で用いる機械
輸送や保管の対象となる荷物の中には、人の力では動かすことができない形状や重量のものも多いため、荷役は機械を用いて行うのが一般的です。
荷役作業で用いる機械(荷役機械)としては、保管や運搬、仕分けなどの作業をサポートする「マテリアルハンドリング(マテハン)機器」が一般的です。主な機械を紹介しましょう。
荷役機械 | 詳細 |
フォークリフト | 車体の前面下部にあるツメを貨物の下部やパレットに差し込み、持ち上げて運搬する機器。重量のある荷物を運んだり、高所に積まれた荷物を下ろしたりするのに使われる。最近では無人のフォークリフトも登場している。 |
コンベア | 回転するベルトやローラーの上に荷物を流すことで、人の手を使わずに荷物を輸送できる装置。ベルトコンベアで流れてくる部品を加工・組み立てるなど、製造現場でよく用いられる。 |
移動ラック | 電動式の台車上に設置されたパレットラックを台車単位で動かせる移動棚。入出庫作業の効率化に役立つ。 |
ピッキングシステム | ピッキング作業のサポートシステム。ラックに表示器を取り付けておくことで、指示に従って商品を自動で取り出したり、作業者に対象物の場所を知らせてくれたりする。 |
ソーター | 荷物や物を出荷先や品目、形状などによって自動で仕分ける機器。短時間で大量の仕分け作業を可能とする。 |
荷役作業に重要な安全対策
重い荷物や重機を取り扱うことが多い荷役では、安全対策が特に重要です。ここからは、荷役の安全対策の3つのポイントについて解説します。現場の管理・監督を担当する方は、今一度、自社の作業現場における安全対策が十分であるかを確認しましょう。
マニュアルの作成と安全指導
荷役における墜落や転落、荷崩れなどの事故の防止には、作業にかかわる関係者一人ひとりの高い安全意識と、組織全体の安全対策が欠かせません。
自社社員のみならず、外注業者を含む現場で作業する全ての人に向けた安全マニュアルを作成し、それに基づいた安全指導を実施しましょう。
作業者の中には、安全マニュアルの内容を理解していても、つい癖や忙しさからマニュアルとは異なる行動を取る人がいるかもしれません。監督者は現場を定期的に視察し、また現場作業員の声を聞きながら、事故の防止に努めましょう。
厚生労働省では「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」を作成しています。ぜひあわせて参考にしてください。
荷役5大災害対策の徹底
厚生労働省では、死亡災害の約8割を占める以下の荷役5大災害の防止を目的としたチェックリストを作成しています。
- 墜落・転落
- 荷崩れ
- フォークリフト使用時の事故
- 無人暴走
- 後退時の事故
参照:厚生労働省「陸上貨物運送事業における荷役災害等を防止するための留意事項」
現場の作業者に、実際に起きた事故の事例とその原因を周知することも重要です。「日々の作業にどのような危険が潜んでいるのか」「なぜマニュアル通りに作業を行わなければいけないのか」などを理解するだけで、現場の安全意識はぐっと高まります。
危険予知活動(KY活動)とリスクアセスメント
危険予知活動(KY活動)とは、現場での作業を始める前に危険要因を見つけ出し、特に重点として実施する安全対策を決定し、確実に実施するものです。
危機予知活動の実施に先立っては、危機予知訓練(KYT)を実施します。危機予知訓練とは、作業を想定したイラストシート等をもとに、その作業に伴う危険要因を見つけ出し、必要な対策等を検討するものです。危険感受性の向上と危険予知活動の実施方法を学ぶことが目的です。
リスクアセスメントとは、職場にあるリスクとそれらへの対策の実情を把握し、災害が発生しにくい職場を作ることを目的とした取り組みです。リスクアセスメントは、職場の全員が参加し、おおむね以下の手順で実施します。
- 労働者の就業に係る危険性又は有害性の特定
- 特定された危険性又は有害性ごとのリスクの見積り
- 見積りに基づくリスクを低減するための優先度の設定
- リスクアセスメントとリスク低減措置の記録
- リスク低減措置の検討及び実施
リスクアセスメントを実施することで、職場にあるリスクをそこで働く人全員が明確に意識できるなどの効果があります。
危機予知活動とリスクアセスメントの詳細については、厚生労働省の「荷役作業時における墜落・転落災害防止のための安全マニュアル」をご確認ください。
物流の荷役作業は安全対策と効率化が重要
物流において、荷役の効率性は全体の業務効率に直結します。よりスムーズに、ミスなく作業を進めることが現場には求められる一方、事故を防ぐための安全対策も欠かせません。作業マニュアルや安全マニュアルを整備し、現場で働く一人ひとりが高い安全意識を持って日々の作業にあたれるようにしましょう。
一方で、積卸しから出荷まで作業が多岐に渡る荷役の業務フローの見直しや安全対策の強化は容易ではありません。「社内のノウハウやリソースでは対応しきれない」「何から着手すればよいかわからない」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ「TS-BASE 物流」を提供する竹田印刷にご相談ください。
「TS-BASE 物流」は受発注から納品までの7つのサービス(在庫保管・荷役・流通加工・梱包・輸配送・コールセンター・システム提供)をカスタマイズしてご利用いただける、物流ソリューションです。
サービスを提供する竹田印刷は、自社で倉庫拠点を2箇所運営しています。その拠点で日頃から物流業務に携わっている専任担当者が、荷役をはじめとしたお客様の物流業務をトータルサポートします。
導入にあたっては、運用年数10年以上、取引実績300件以上のノウハウを持つ竹田印刷の担当者が、課題や要望をヒアリングの上、最適なプランをご提案いたします。物流業務全体の品質向上やコスト削減など、お気軽にご相談ください。
-
TS-BASE編集部さん
TS-BASEシリーズの促進を目指し活動しています。
導入をご検討の方は
こちらから
-
サービスの紹介資料や
お役立ち資料は
こちらから -
導入のご検討やその他ご相談は
こちらから