TS-BASE 受発注
2023.06.07
製造業が受発注システムを導入するメリット・デメリット
受注・発注に関する一連の業務を行える受発注システムは、EC業界、飲食業界、小売業界、医療業界など様々な業界で幅広く導入されています。
製造業界もそのうちの1つですが、製造業における受発注システムのメリットには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
この記事では、製造業が受発注システムを導入するメリットやデメリット(注意点)を解説します。システムの比較ポイントについても解説するので、ぜひシステムの導入検討にお役立てください。
目次
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受発注システムとは
受発注システムとは、企業と企業、または企業と顧客の間で行われる受注や発注に関わる様々な業務を管理するWebシステムのことです。
従来、受注や発注の業務は、電話やFAX、メールなどで行い、受発注や在庫、顧客に関する情報は紙やExcelなどで管理する方法が主流でした。
しかし、この方法では情報の転記ミスや見落としなどのリスクや、複数の人が同時に作業できない(紙やExcelを使っている一人のみが可能)といった不便さがあります。取引情報が蓄積されていくうちに、たまった書類を整理したり古い情報を探したりするのに時間がかかる点も、業務効率化の妨げとなります。
受発注システムでは、受注・発注に関する様々な業務フローや情報を1つのシステムで一元管理することで、受発注業務をより効率的、確実に進めることが可能です。また、発注者側にも同じシステムを使ってもらうことで、注文内容の確認や納期、発送状況などを一目で確認できるようになります。
製造業が受発注システムを導入するメリット
製造に必要な資材や部品の発注やそれらの在庫管理、取引先からの受注情報や配送状況、顧客リストなど、様々な情報を扱う製造業は、受発注システムの導入によるメリットが特に大きい業界の1つです。
ここからは、製造業が受発注システムを導入するメリットについて詳しく解説していきます。
業務フローの効率化
受発注システムの導入により、従来の業務フローの中にあった小さな無駄や待ち時間が解消され、全体的な業務フローの効率化が実現できます。
例えば受注業務は、一般的に次のような流れで行われます。
- 見積もり
- 契約の締結
- 商品の受取・発送
- 支払・請求
これらの業務を細かく見ていくと、取引先からの問い合わせを受けて見積書を作成し連絡、その後注文書を受け取ったら、在庫を確認し足りない部品は発注。受注伝票や納品書などを作成しつつ、出荷指示や発送手続きなど、様々な部門が連携して業務を進めます。
在庫の有無を担当者に電話で確認したり、伝票を作成して取引先にFAXやメールで送付したりなどの作業は、1つ1つの負担が小さなものでも、それが何十件、何百件となるとかなりの負担になります。
受発注システムでは、システム上で受注管理、在庫管理、発注管理、顧客管理などの全ての情報を管理することで、必要な情報にいつでもすぐにアクセスすることが可能です。発注した取引先もシステムで注文のステータスの確認や伝票の受取ができ、よりスムーズな取引が実現します。
社内の部品管理に受発注システムを導入し、発注業務の効率化に成功した株式会社ユニバンス様の事例はこちらからご確認いただけます。
在庫の適正な管理
適正な在庫管理は、必要なタイミングで必要な場所に、過不足のない数量の商品や資材を供給するために欠かせません。製造業に限らず、様々な業界が様々な工夫をこらして在庫の適正な管理に取り組んでいる一方で、在庫の過多や不足などの問題が生じてしまうのが現状です。
受発注システムを導入することで、これまでの受注・発注情報などを元に、過去のデータに基づいた在庫管理ができるようになります。
受発注や在庫に関する正確な情報をリアルタイムで確認でき、欠品が予想される際にはシステムから24時間いつでも注文ができます。
その他、在庫管理業務で発生しやすい課題と解決方法についてはこちらでも解説しています。
在庫管理で抱える課題とは何か?対処方法・システムの選び方も詳しく紹介
取引に関するミスやトラブルの防止
受注・発注の取引では、聞き間違いや勘違い、入力ミスなどによる処理漏れや納品遅延、配送トラブルなどが少なからず発生します。特に様々な商品や資材・部品の取引が行われる製造業では、細心の注意を払ったとしてもミスを完璧に防ぐのは難しいものです。
受発注システムの導入は、これらのヒューマンエラーを防ぐためにも有効です。例えば、受注を電話やFAXではなくシステム経由で受けることで、注文内容の聞き間違いや発注書の読み間違いはなくなります。
また、発注した取引先側からも商品の個数、単価、納期、請求金額など詳細を閲覧できるため、受注者側から打ち間違いなどのミスが起きやすいメールを使って連絡する必要もありません。
情報とやり取りのデジタル化により、受注者側、発注者側双方のミスの防止につながります。
ペーパーレス化が促進する
見積書や注文書、納品書、請求書、検収書など、モノの取引には様々な書類が必要となります。これらは取引の詳細を示す書類のため、法律により一定期間の保管が義務付けられており、各企業は求められた際にすぐに提示ができるよう、適正に管理する必要があります。
しかし、毎月大量に作成される書類の紙代や印刷代、書類の整理や保管にかかるコストは決して小さなものではありません。書類の保管場所を確保するために業務スペースが圧迫されるといったこともあるでしょう。
受発注システムでは、取引に際して作成される様々な書類をシステムで作成・保管することで、業務のペーパーレス化を促進します。紙や印刷にかかるコストをカットするだけではなく、ファイリングの手間やファイルの保管場所の節約にもつながり、より業務フローを簡略化させられます。
受発注業務をペーパーレス化するメリットについて、詳しくはこちらもご覧ください。
ペーパーレス化で変わる!受発注業務の効率化テクニックを詳しく紹介
製造業が受発注システムを導入する際のデメリット(注意点)
業務フローの改善やミスの軽減、ペーパーレス化の促進などの製造業にとって嬉しいメリットが多い一方で、受発注システムの導入時にはいくつかデメリット(注意点)もあります。
ここからは、受発注システムの導入時に把握しておきたい注意点について解説しましょう。
導入・運用コストがかかる
受発注システムの導入方法はいくつかありますが、いずれの方法でも一定の導入・運用コストがかかります。
主な導入方法は以下の通りです。
詳細 | 特徴 | |
オンプレミス型 | 自社でサーバーを用意し、システムの構築・保守管理を行う | ・自社の要件にあわせたシステムを構築できる ・構築にかかるコストや工数は、他の2つの方法よりも大きい一方、導入後の運用コストは定期メンテナンスが主となる ・システムの管理を全て自社で行える |
パッケージソフト型 | 汎用的な利用を想定して開発されたソフトウェアを購入して利用する | ・自社で1からシステムを開発する必要がないため、低コスト・短期間で導入できる ・ソフトウェアの購入やインストール、初期設定などが必要 ・導入後にシステムのアップデート対応などが必要になるケースがある ・カスタマイズの自由度が低く、既存業務の見直しが必要になる可能性がある |
クラウド型 | クラウド環境に構築したシステムにインターネット経由でアクセスして利用する | ・すでに出来上がっている環境とシステムを利用するため、低コスト・短期間で導入できる ・システムの運用・保守をベンダーに任せられる ・契約内容に応じた月額利用料が発生する ・利用機能やサービス内容がベンダーによって異なる |
システムの構築や導入、運用にかかるコストの他に、システムの要件定義やベンダーとの打ち合わせ、マニュアルの整備や説明会の実施なども必要です。
実際にかかる費用は導入形態や利用するシステムによって異なるため、中長期的なコストを試算した上で、よりコストパフォーマンスの高いものを選択することが重要です。
受発注システム導入時のコストパフォーマンス(費用対効果)の考え方を解説した資料を用意しているので、参考にしてください。
取引先の協力が不可欠
受発注システムは、受注側と発注側の双方の業務を一元管理するシステムであるため、自社だけではなく、取引先などでの導入も必要になります。
システムの仕様によっては、これまでの業務のフローの見直しや変更が必要になる可能性もあります。ITツールへの苦手意識がある、従来のやり方を何十年も続けているといった理由で、新しいシステムへの移行に消極的な取引先もあるかもしれません。
自社はもちろん、取引先にもシステム導入がよい効果をもたらしてくれるよう、システムの導入意義やメリット、費用対効果などを説明し、お互いに協力して導入プロジェクトを進められるようにしましょう。
受発注システム選びのポイント
受発注システムは様々なベンダーから販売・提供されています。知名度や価格だけで決めてしまうのではなく、「本当に業務が効率化するか」「期待するメリットが得られるか」といった視点でシステムを選ぶことが重要です。
ここからは、受発注システムを選ぶ際に特に重要な2つのポイントを解説します。
業務に必要な機能が備わっているか
受発注システムは日々の受注・発注業務で利用するため、業務を遂行するために必要な機能が備わっていることが第一条件です。現行の業務フローを洗い出し、受発注システムに求める機能をリストアップしてみましょう。
その際には「今はこうやっているけど本当はこうしたい」「これができたら非常に便利になる」といった要望もぜひ考えてみてください。こうすることで、既存フローをただシステム化するのではなく、理想の業務フローを実現することにつながるでしょう。
要件を満たすシステムが見つかったら、可能であればトライアルなどで使用感やデザインを確認するのがおすすめです。「処理が遅い」「操作方法がわかりにくい」「クリック数が多い」といった不便さは、日々のストレスになります。実際の担当者に触ってもらって意見を聞けるとよりよいでしょう。
サポート体制は安心できるか
導入期間中や運用期間中に、トラブルや質問がある際に、ベンダーからどのようなサポートが受けられるかも、重要なポイントです。
サポートが充実しているベンダーなら、導入時にはヒアリングを元に設定や運用に関する提案をしてくれたり、運用中の操作方法に関する疑問にも素早く回答してくれたりします。
受発注システムは、受発注のフロント業務担当者の他、在庫管理部門や製造部門、取引先など、様々な人が利用するため、導入後も一定期間は操作方法に関する質問が出てくることが予想されます。
社内で対応できないケースに備えて、サポートの有無や詳細なサポート内容、問い合わせの方法(メール、電話、Webフォームなど)、対応時間などを確認しておきましょう。
受発注システムで製造業の業務を効率化
製造業が受発注システムを導入することで、従来の業務フローで生じていた無駄や問題が解消・改善し、業務フロー改善、適正な在庫管理、ペーパーレス化の促進など、より効率的な受発注業務が実現します。
受発注システムには主にオンプレミス型、パッケージソフト型、クラウド型の3つの導入形態があるため、それぞれの特徴をふまえ、中長期的なコストを試算することが重要です。
受発注システムによって、自社の業務を効率化し、市場での競争力を高めましょう。
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