TS-BASE 物流
2023.07.27
物流の破損対策はどう行う?具体的な対策や梱包のポイントを解説
目次
日々さまざまなものの搬入や搬出、運搬を行う物流の現場では、破損などのトラブルが起きることもあります。運送会社や物流会社は、現場の作業者への注意喚起に加えて、作業環境や梱包方法の見直しなどで破損対策を行うことが重要です。
この記事では、物流の現場で行うべき破損対策と、破損を防ぐための梱包のポイントについて詳しく解説します。
物流の現場で起こる破損事故とは
物流の現場では、荷物の取り扱い不注意や機器の操作ミス、運転不注意などにより、以下のようなさまざまなトラブルが起こり得ます。
- 破損・変形
- 濡損
- 抜荷
- 汚損・汚染
- 凍結・解凍
- 変色・変質
- 劣化・腐敗
これらのトラブルは運搬業者に対する送り主の信頼、さらに送り主や運搬業者に対する受取人の信頼に関わる重要事項である一方、完璧に防ぐことは難しいのが現状です。このため、運搬業者は業務フローや作業環境の見直しなどで事故につながる要素をできるだけ排除し、また送り主は適切な梱包で万が一の際のリスクを下げる工夫が必要です。
物流の破損対策のポイント
物流の破損対策は、環境や制度によって人為的ミスをいかに防ぐかが重要なポイントです。荷物の送り主や運搬業者が事故防止のために行うべきことについて詳しく解説します。
作業環境の見直し
破損事故が頻繁に発生する現場とほとんど発生しない現場では、作業環境に違いがあるものです。作業環境を以下のようなポイントで見直し、ミスを未然に防ぐ仕組み作りに取り組みましょう。
- 倉庫内の整理整頓や清掃を実施し、作業者の動線を確保する
- 倉庫内の棚や機械を固定する
- 停止線や一方通行など、倉庫内の交通ルールを整備する
- 荷崩れ防止・落下防止アイテムを活用する
人間は、忙しいときや作業が長時間に及ぶときにはどうしても集中力が低下しがちです。現場作業者への注意喚起だけでは人為的なミスの防止策としては不十分であるため、作業環境そのものによる対策が重要です。
物流倉庫での作業を効率化する方法は、こちらで詳しく解説しています。
物流倉庫内での作業を効率化する方法の例を紹介
業務フローの改善とスタッフのスキルアップ
業務フローの見直しと現場スタッフの教育により、防げるミスもあります。
例えば、破損事故の主な原因の1つであるフォークリフトの操作ミスは、十分な新人研修や定期的なスキルアップ研修の実施によって防げる可能性があります。この他には、マニュアルを整備し、全ての作業者が業務に必要な情報にいつでもアクセスできる環境を整えることでミスを防ぐことも可能です。
また、作業時の声かけや声を出しての確認作業は、安全な業務遂行に重要であると理解しつつも、日々同じことを何度も繰り返す現場では疎かになりがちです。「忙しくて1つ1つの確認作業を丁寧に行っていられない」という場合には人員を補充するなど、管理者は現場の状況を確認して個別に対処するようにしましょう。
物流倉庫での安全対策について気になる方はこちらも参考にしてください。
物流倉庫の安全対策をわかりやすく解説!重要な理由・押さえておきたい知識も詳しく紹介
商品ごとに適した梱包・流通加工
梱包は荷物を外的な衝撃から守る重要な役割を担うため、商品ごとに適した資材や梱包方法を選ぶことが重要です。
梱包材としてよく使われるダンボールは紙質や厚みによって強度が異なり、また緩衝材にもいくつか種類があるため、商品によって適したものを選ぶ必要があります。
破損を防ぐための梱包のポイントについては、この後詳しく解説します。
適切な取り扱いへの注意喚起
梱包材に「取扱注意」「壊れもの」「横積禁止」などのケアマークを印刷・貼り付けることで、適切な取り扱いへの注意喚起ができます。ケアマークを箱の側面に貼り付ければ、荷物が積み重なっている状態でも見えやすくなります。
ケアマークがあれば必ず丁寧に扱ってもらえるというわけではありませんが、少なくとも荷物の内容を作業者に知らせ、注意を呼びかけることはできるでしょう。
破損を防ぐための梱包のポイント
梱包は、商品を落下などの衝撃から守る重要な役割を持ちます。梱包の方法や緩衝材はさまざまあり、商品ごとに使い分けることがポイントです。また、過剰な梱包はコストや作業時間の増加につながる他、環境への配慮などから過剰梱包をよく思わない消費者もいるため注意が必要です。
ここからは梱包の基本手順、梱包材の種類や選び方などについて解説します。
梱包の基本手順
梱包は基本的に以下の手順で行います。それぞれの手順でのポイントを解説しましょう。
1.商品を入れる
まず、各商品に適したサイズの外装(箱)に商品を入れます。入れる品に対して箱が大きすぎると、余計な緩衝材が必要になったり、配送料が余計にかかったりします。
商品は箱の中心に配置し、複数の品を同じ箱に入れる場合には、重いものを先に入れ、その上に軽いものを入れましょう。
2.緩衝材を詰める
次に、箱と商品の間に生じている隙間を気泡緩衝材やエアー緩衝材、丸めた紙などの緩衝材で埋めます。緩衝材は、作業中や運送中の揺れや落下に対してクッションの役割を担います。
緩衝材は箱と商品のスペースを埋めるものですが、陶器やガラスなどの割れ物は緩衝材を詰めすぎによって圧力がかかり、破損するケースもあるため注意しましょう。
3.テープで補強する
テープはダンボールの開閉部を閉じるだけではなく、箱の強度を補充する役目もあります。主なテープの貼り方は次の通りです。荷物の重さにあわせて強度を調整しましょう。
貼り方 | 特徴 |
十字貼り | 箱の長辺方向と短辺方向に1本ずつ、十字になるようにテープを貼る方法。持ち上げたときに最も圧力がかかる底の中心を補強できる。 |
キ貼り | 箱の長辺方向に1本、短辺方向に2本、カタカナの「キ」になるようにテープを貼る方法。十字貼りよりさらに底の中心を補強できる。 |
H貼り | 箱の開閉部をH字に囲むようにテープを貼る方法。箱の角の強度が高まり、箱の形が崩れにくくなる。一方、底の中央部分の補強はないため、重い荷物には不向き。 |
一字貼り(I貼り) | 箱の開閉部の中心に1本だけテープを貼る方法。他の貼り方よりは強度が劣るため、底面の一字貼りは避けるべき。 |
外装の選び方
外装には、ダンボールや発泡スチロール、木箱、スチールなどがあります。
一般消費者向けの通販などの配送では、ダンボールやメール便の専用ケース、宅配袋、宅配ビニール袋などがよく用いられ、BtoB物流では強度が高い木箱やスチールも使用されます。
外装は商品の素材やサイズ、予算などで選びましょう。例えば、ダンボールは衝撃に弱い品や多くの品を一度に配送したいときに適しています。宅配ビニール袋は多くのアパレルブランドが商品の配送に使用しています。
ダンボールにブランドのロゴを入れたり独自のデザインを施したりして、消費者に印象づけるのもよいでしょう。
緩衝材の選び方
緩衝材の目的は、品物を衝撃から守ることです。緩衝材には主に以下の種類があります。それぞれの緩衝材で特性が異なるため、商品ごとに使いわけましょう。
種類 | 特徴 |
気泡緩衝材 | 粒状の気泡を等間隔でシートに閉じ込め、クッション性を持たせたもの。「プチプチ」や「エアークッション」などとも呼ばれる。さまざまな形状のものに巻くことができる。 |
エアー緩衝材 | 長方形の袋の中に空気を閉じ込め、クッション性を持たせたもの。「エアークッション」や「エアーピロー」などとも呼ばれる。箱の隙間を埋めるのに適している。 |
紙緩衝材 | クラフト紙や更紙などで商品を包んだり、丸めて箱の隙間を埋めたりするためのもの。緩衝材の中でもコストが低く、かさばらないため保管に場所を取らない。湿気には弱いため冷蔵・冷凍品には不向き。 |
バラ緩衝材・発泡緩衝材 | コロコロとしたまゆ(繭)のような形状で、1粒1粒の間に空間を作ることでクッション性を生み出すもの。小さな隙間を埋めるのに適している。 |
ポリエチレンシート | 発泡ポリエチレンを薄くシート状に加工したもの。薄くて柔軟性があるため、割れ物などを包むのに適している。 |
粘着テープの選び方
粘着テープはダンボールの組み立てや補強のために用いるもので、主な種類は以下の通りです。外装や緩衝材と同じく、商品や用途によって使い分けるのがよいでしょう。
種類 | 特徴 |
クラフトテープ(紙テープ) | 紙でできたテープ。手で簡単に切ることができる。コスト面で優れている一方で、強度は他のテープに劣り、重ね貼りができない。 |
ビニールテープ(OPPテープ) | ビニールでできたテープ。切るためにカッターやハサミが必要だが、耐久性・伸縮性が高く、重ね貼りもできる。 |
布テープ | 布でできたテープ。クラフトテープよりも強度が高く、縦横の繊維に沿って手で簡単に切ったり割いたりできる。重ね貼りも可能。 |
物流の破損対策は基本を守ることが重要
効率的で安全な業務フロー、商品にあった適切な梱包、スタッフの教育など、基本をしっかりと守ることで防げる破損事故は多くあります。一方で、物流の破損事故は現場の非効率性や人員・ノウハウ不足などのさまざまな原因が複雑に絡み合った結果引き起こされるケースもあります。
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