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2023.07.26

バリューチェーンとは何か?分析のメリットやステップも詳しく紹介

バリューチェーンとは何か?分析のメリットやステップも詳しく紹介

目次

バリューチェーンとは、一連の企業活動において、どのような価値を生み出しているのか、それぞれの活動関係を客観的に確認するためのフレームワークのことです。バリューチェーン分析を行うことで、企業はどの活動が最も価値があるのか、もしくは改善すべきなのかを把握できます。


この記事ではバリューチェーンについて、サプライチェーンとの違いやバリューチェーン分析についても紹介していきます。これからバリューチェーンを学びたい担当者はぜひ参考にしてみてください。

バリューチェーンとは

まずは、バリューチェーンについて説明していきます。

概要

バリューチェーンとは、企業が商品・サービスを顧客に提供するまでの一連の活動やプロセスにおいて、どのような貢献をしているのか、客観的に確認するためのフレームワークのことです。ハーバード・ビジネススクール教授のマイケル・ポーターが、1985年に、自身の著書「競争優位の戦略」にて提唱しています。


バリューチェーンには「主活動」「支援活動」の構成要素があります。主活動とは、生産・消費に直接的に関わる活動のことで、製造・出荷・購買・マーケティングなどがあります。支援活動は生産・消費を間接的に支援するための活動のことです。人事・労務管理・開発などが挙げられます。


バリューチェーン分析を実施すれば、競合に対する自社の強み・弱みとなる活動を明らかにできます。分析結果を元に、自社の事業戦略改善を行い、企業価値が高い製品・サービスを生み出すことが可能です。

サプライチェーンとの違い

バリューチェーンと似た言葉に、サプライチェーンという言葉があります。2つの違いについて説明します。


サプライチェーンとは、製品や食品の元となる原材料から製造、販売まで、消費者に届くまでの一連の流れのことです。バリューチェーンと異なる点は、物やお金の流れについて、それぞれの活動と結び付ける、といった特徴があることです。

サプライチェーンでは活動全体のバランスをみながら最適化していくことが大切です。


それに対してバリューチェーンでは、企業の個々の活動を最適化し、消費者にとって価値が高い製品・サービスを生み出すことが重要です。バリューチェーンは企業の活動全体を見て、それぞれの活動がどのように製品やサービスに価値があるのかを把握していきます。


バリューチェーンは「価値の創造」に焦点を当てていること、サプライチェーンは「物品の流通」に焦点を当てていることが、大きな違いと言えます。

バリューチェーン分析とは

バリューチェーンに必要な、バリューチェーン分析について説明します。


バリューチェーン分析とは、企業が製品・サービスを顧客に提供するまでの一連の活動過程(価値創造過程)を明確化し、各活動がどの程度の価値を創出しているのかを分析する手法です。
バリューチェーンでは、製品の製造や販売、それを支えている開発などのすべての活動を、価値が連鎖していることを前提に考えていきます。バリューチェーン分析は、物の連鎖と、価値の連鎖の2つの軸から分析を実施していきます。


バリューチェーン分析をすれば、どの活動がどれ程の価値を創出しているか、またはコストを消費しており改善の余地があるのかなどを把握でき、企業は分析結果を元に競争力を強化するための戦略を立てることができます。

バリューチェーン分析するメリット

企業がバリューチェーン分析をすると、どのような利益を得られるのでしょうか。ここからは、バリューチェーン分析が企業へもたらすメリットについて説明していきます。

戦略予測

1つ目のメリットは、戦略を予想できることです。

競合他社をバリューチェーン分析の分析対象とすれば、競合他社の強みや弱み・優位性を把握できることはもちろん、今後の戦略についても予想できます。


競合企業を分析すれば、企業活動のどこに真の価値があるのか、どの活動で競争優位性を持っているのか、どの部分に改善の余地があるのかなどを知ることができるでしょう。

競合企業が強みを持つ活動を自社に取り入れれば、自社を他社以上に強化できる可能性があります。また、他社の弱みについても他社よりも先に自社で改善すれば、自社の競争力を高めることも可能です。


バリューチェーン分析を行うことで、他社の強み・弱み・優位性を持つ領域を理解できます。その結果を元に、自社でどのように対抗するか、どのような領域で差別化を図るか、といった戦略を立てることが可能です。

経営資源の再分配

2つ目のメリットは、経営資源の再分配が可能なことです。

バリューチェーン分析を行うことにより、企業は自社の活動プロセスにおいて、どのようにコスト配分がされているのかを把握できます。どの活動に最もコストがかかっているのか、またその活動がどれくらいの価値をもたらしているのかを知ることができるでしょう。


例えば、とある活動に大量のコストがかかっているが価値がないと判断できた場合、企業はコスト削減や効率化のための対策を打つことができます。


バリューチェーン分析を行うことで、活動プロセスの現在のコスト配分を理解できます。経営資源を再分配して最適化を図ることで、自社の利益向上につながるでしょう。

製品の付加価値向上

3つ目のメリットは、製品の付加価値向上です。

バリューチェーン分析を行うことで、自社の戦略予測・経営資源の配分の最適化を図ることができ、製品の付加価値を高められます。


企業はバリューチェーン分析で得た結果を元に、経営資源の再配分を行い、価値創造に最も影響がある活動に資源を集中させることができます。


同時に、価値があまり見られなかった活動は、改善・効率化に取り組めます。その結果、活動が最適化し、製品やサービスを生み出す過程に余裕が生まれ、サービスの付加価値を高めて企業の競争力を強化できるでしょう。

バリューチェーン分析のステップ

ここまで、バリューチェーンの概要とサプライチェーンとの違い、メリットについて説明しました。それではバリューチェーン分析をしたい場合、具体的に何をすればよいのでしょうか。ここからは、バリューチェーン分析に必要なステップについて説明します。

自社活動の可視化

まずは、自社活動の可視化です。

バリューチェーン分析の対象となる事業活動を、バリューチェーンの構成要素「主活動」と「支援活動」の単位にわけて、可視化していきます。


可視化する上で、どの活動がどのように、製品やサービスに価値を与えているのかを意識しましょう。また、それぞれの活動がどのように関連し合っているのか、どの活動が他の活動に影響を与えるのかを理解することも、改善の余地を見つけるためにも役立ちます。

現状コストの洗い出し

バリューチェーンの構成要素である「主活動」「支援活動」それぞれの単位で現状かかっているコストを洗い出すことも必要なステップです。


「購買」「出荷」など、各活動に対して、どれ程のコストがかかっているか、洗い出していきます。コストが高い活動においては、そのコストが妥当かどうかを判断することが重要です。経営資源を再配分するときに改善が必要な活動は、効率化していくなどコストを削減し、最適化を図っていきます。

活動単位の強み・弱み分析

バリューチェーンでは、企業活動ごとに強み・弱みを分析していきます。


主活動・支援活動それぞれ、強み(競争優位点)と弱み(改善点)を具体的に洗い出していきましょう。例えば、製造部門は生産効率が高いものの新製品の開発スピードが遅いといった具体的な事項を見つけることが大切です。


分析をするときは、視点に偏りが出ないようにしましょう。多くの関係者の参加を募り、視点や知識が異なる人々からの意見を取り入れるなど、多面的に分析することが大切です。

VRIO 分析

バリューチェーン分析では、以下4つの視点で対象を評価する VRIO 分析が行われます。 

  • Value(価値)
  • Rareness(希少性)
  • Imitability(模倣可能性)
  • Organization(組織)

これらの視点から分析を行うことで、自社の真の強みを理解でき、それが持続可能な競争優位性につながるのかの判断、そして強みを活かすためには何が必要なのかを理解できます。


VRIO 分析を行うことで、企業の一連の活動の中から、すぐに解決すべき点・注力して優位性を高めるべきポイントを把握でき、経営資源の適切な投入も可能となります。

バリューチェーン分析を活かして自社の優位性を高めよう

バリューチェーンとは、企業の一連の活動一つ一つが現在どのような価値を生み出しているのか、理解することです。バリューチェーン分析を行えば、自社の真の強みを活かした戦略予測や付加価値のある製品開発を実現することが可能でしょう。


競合他社にバリューチェーン分析をすれば、他社の活動を深く理解でき、他社の強みを自社に活かしたり、他社の弱みをいち早く自社で改善するなど、競争優位性を高められるでしょう。


自社の優位性を高めたい、消費者にとって付加価値の高い製品を生み出したいと考える企業は、バリューチェーン分析を実施しましょう。

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