TS-BASE 物流
2023.06.02
物流を効率化!物流システムの種類や導入するメリット・デメリットを紹介
物流業務の効率化や環境改善、物流課題の解決において「物流システム」は重要な存在です。
この記事では、物流に不可欠な物流システムの概要やおもな種類について解説。物流システムを導入するメリット・デメリットについても解説します。
物流業界で働く方や物流の知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
物流システムとは?
物流システムとは、物流現場で用いられるテクノロジーの総称です。
物流は、6つの機能(輸送・保管・荷役・梱包・流通加工・情報システム)で構成されており、物流システムはこれら6つの機能を補完し効率化するシステムです。
例えば、輸送においては輸送機器の配送ルート最適化、輸送機器の稼働状況と位置情報の把握、配送スケジュールの管理などを実現できるでしょう。
また、物流現場の課題解決のみならず、上流の経営課題の解決や事業計画の策定をサポートする物流システムも存在します。
近年では、先端技術のAI・IoT・ロボットを駆使した高度な物流システムも続々と誕生。物流システムの今後には目を離せません。
物流システムの種類
物流システムの種類を役割で分けると、おもに3つあります。
- 戦略・企画系システム
- 計画・管理系システム
- 実務系システム
戦略・企画系
「戦略・企画」の物流システムは、物流ネットワークや拠点設置などのサプライチェーン構築や最適化をサポート。物流シミュレーションソフトが該当します。
物流シミュレーションソフトのおもな役割は、以下の通りです。
- 物流業務のモデリング:業務フローを可視化し業務の棚卸しや課題の洗い出しに役立てる
- パフォーマンス計測:物流拠点のリードタイム・輸配送コスト・生産性などを計測する
- 意思決定のサポート:シミュレートした結果を判断材料として物流戦略を打ち出せる
計画・管理系
「計画・管理」の物流システムは、物流計画・物流管理を担うシステムで、基幹系システム(ERP)に組み込まれていることも多いです。
具体的には、物流の実績を可視化して物流管理をしやすくする、在庫配置や補充などの物流計画を立てるのに役立ちます。
実務系
「実務」の物流システムは、実際の現場作業と密接したシステムです。実務系の物流システムは数多く存在するので、中でも代表的なものを4つ紹介します。
- WMS:倉庫管理システム
- TMS:輸配送管理システム
- OMS:注文管理システム
- MHS:マテリアルハンドリングシステム
WMS(Warehouse Management System)
WMSとは「Warehouse Management System」の略で「倉庫管理システム」ともいいます。
倉庫内で発生する業務を効率化したり、倉庫内の物品を管理するためのシステムです。
WMSの具体的な機能は、おもに以下の通り。
- 入出庫管理:入出荷状況の照会・入出荷検品の処理・ピッキングリストの印刷など
- 在庫管理:在庫照会・ロット管理・ロケーション管理など
- 棚卸管理:棚卸指示の入力や照会など
- その他:商品情報のマスタ管理・帳票やラベルの印刷など
弊社が運営するTS-BASE 受発注にもWMSの機能が搭載されています。詳細はこちらからご覧ください。
TS-BASE 受発注 機能一覧:https://ts-base.jp/function
TMS(Transport Management System)
TMSとは「Transport Management System」の略で「輸配送管理システム」ともいいます。
輸送機器は常に稼働しているので、輸送車両の種類と台数を把握し効率的な輸送計画を立てるのは、経験豊富な従業員でないと難しい状況でした。
しかしテクノロジーを用いることで、熟練の従業員でなくとも効率的な輸送計画・輸送管理を実現できるようにしたのがTMSです。
TMSの具体的な機能は、おもに以下の通り。
- 配車管理:ルート別配送や優先配送の管理・配送状況の監視・運賃計算など
- 受付管理:各種作業の登録(出発・到着・積込み完了・業務完了・休憩など)
- 物流予測:店配カート数や集荷カート数の予測・過去データを元にした指標作成など
- その他:マスタ管理・位置情報(GPS)の設定・電子掲示板など
OMS(Oder Management System)
OMSとは「Oder Management System」の略で「注文管理システム」ともいいます。
注文を受けた時、どの倉庫に在庫があるか、いつ出荷していつ顧客に納品できるか、この受注から出荷までのプロセスを一元化し業務効率化につなげるのがTMSです。
TMSの具体的な機能は、おもに以下の通り。
- 受注管理:受注情報の登録や変更・キャンセル対応など
- 在庫管理:WMSと連携した複数倉庫の在庫管理(入出庫日・保管場所・数量・状態など)
- 出荷管理:出荷予約・出荷指示・出荷キャンセル・出荷データの管理など
- その他:請求書や納品書の発行・入金の確認・決済処理・メール送信など
MHS(Material Handling System)
MHSとは「Material Handling System」の略で、マテリアルハンドリング(荷役)をシステム化したもののことです。
特に大規模な物流センターでは、保管する商品は膨大で種類もさまざま。人力だけで業務をこなすのは難しいでしょう。
そこで活躍するのがMHS。イメージしやすいものとしては、フォークリフト・ベルトコンベア・パレットなどがあります。
そのほか、AIやIoT技術を駆使した高度なMHSも登場しており、以下がその一例です。
- 立体自動倉庫:高積み可能なラック・スタッカクレーン・入出庫ステーションなどで構成され、倉庫の最適化や先入れ先出しなどの機能を備えた自動倉庫
- AGV(Automated Guided Vehicle):自律移動する自動搬送機。無人フォークリフト・無人台車・無人搬送台車などがある
- RFID(Radio Frequency Identification):無線通信リーダーとICタグからなるシステム。商品の一括読み取りや棚卸・検品の効率化などを実現
物流システムを導入するメリット
物流システムを導入するメリットは、おもに以下の5つです。
- コスト削減
- 作業スピードの短縮
- 品質向上
- 省人化・省力化
- サプライチェーンの効率化
コスト削減
メリットの1つ目は、コスト削減につながることです。
例えば、WMSを導入することで、在庫管理や入出荷業務の効率が上がり、従業員の作業工数や作業時間の削減につながります。
ほかにも、在庫コストや管理費の削減にもつながるので、経費削減に伴う物流事業の利益率アップなども実現できるでしょう。
作業スピードの短縮
メリットの2つ目は、作業スピードの短縮につながることです。
例えば、MHSを導入すれば、商品の運搬やピッキングにかかる時間を短縮できます。
作業時間が短縮することで、肉体労働の減少による労働環境の改善やほかの業務へのリソースを確保することができるでしょう。
品質向上
メリットの3つ目は、品質向上が期待できることです。
例えば、WMSの導入により倉庫作業の見える化や自動化を実現できます。これにより、業務フローの改善につながり、品質管理の精度が向上するでしょう。
そのほか、在庫の過不足の把握・消費期限の管理・トレーサビリティ(追跡可能性)の確保なども品質向上に貢献できます。
省人化・省力化
メリットの4つ目は、省人化・省力化につながることです。
具体的には、RPAや自動化機器の導入により、従業員の作業負担や作業ミスが減り、生産性が上がるでしょう。
また、物流システムの導入により、従来は複数人で行っていた荷役業務を、システム管理者1人で賄うことも可能になるはずです。
サプライチェーンの効率化
メリットの5つ目は、サプライチェーンの効率化につながることです。
サプライチェーンとは「供給連鎖」を表すビジネス用語で、原材料調達・製造・配送・販売を経て、消費者へと届く一連の流れを指す言葉です。
そして物流においては、サプライチェーンの効率化が常に求められます。
物流システムの導入により、在庫・製品・人員・車両などの動きを共有し各プロセスが最適化され、サプライチェーンの効率化が期待できるでしょう。
物流システムを導入するデメリット
一方で、物流システムを導入するデメリットとして考えられるのは、以下の3つです。
- 初期投資や維持コストの発生
- 業務フローの見直しが必要
- 従業員の理解を得る必要も
初期投資や維持コストの発生
デメリットの1つ目は、導入に際して初期投資や維持コストが発生することです。
例えば、WMSやTMSを導入する際、ソフトウェアがクラウド型・パッケージ型・オンプレミス型かによって、コストは変わります。
そのほか、導入に必要なコンサルティングや企業の規模感によってもコストは変わるでしょう。
維持コストも含めて、物流システムを導入する場合は、採算が取れるかどうか慎重な判断が求められるのです。
業務フローの見直しが必要
デメリットの2つ目は、導入に際して業務フローの見直しが必要になることです。
物流システムの導入によって作業工数や作業時間の削減が期待できる一方で、作業内容の変更に伴う業務マニュアルの改定などが発生します。
また場合によっては、システム導入後の業務フローを理解してもらうために、従業員向けの研修や説明会が必要になるかもしれません。
従業員の理解を得る必要も
デメリットの3つ目は、導入に際して従業員の理解を得る必要もあることです。
例えば、MHSの導入で荷役業務の効率化が図れる一方で、これまで業務を担当していた従業員には、配置転換や異動が発生するでしょう。
仕事が変わることによるストレスもあるので、別途フォローアップやメンタルケアなども必要になるかもしれません。
あるいは人件費削減に伴い、解雇される場合も。物流システムを導入する際は、従業員への影響も考慮して考えなければなりません。
物流システムは不可欠な存在
物流に不可欠な物流システムの概要やおもな種類、物流システムを導入するメリット・デメリットについて解説しました。
ITインフラの普及やEC市場の拡大などが進んだことで、物流は今まで以上に高度化・複雑化していくはずです。
こうした背景から、物流システムは物流の効率化を果たす上で不可欠な存在であり、物流システムを導入する企業は増えていくでしょう。
紹介した内容を参考に、物流システムの基本を知るきっかけにしてください。
-
TS-BASE編集部さん
TS-BASEシリーズの促進を目指し活動しています。
導入をご検討の方は
こちらから
-
サービスの紹介資料や
お役立ち資料は
こちらから -
導入のご検討やその他ご相談は
こちらから